ベイトタックルで楽しむ渓流ルアーフィッシングのスタイル「渓流ベイトフィネス」。
渓流ベイトフィネス専用リールも発売されているなど、近年人気のスタイルです。

とはいえ、ベイトリールならどれでもよいわけではなく、はじめてベイトフィネスリールを選ぶ際は注意が必要です。
そこで本記事では、渓流ベイトフィネスリールにフォーカスして以下4つのポイントを解説します。
特徴やメリット・デメリットとあわせて、おすすめモデルも厳選して紹介しますので、渓流ベイトフィネスに興味がある方は参考にしてみてください。
ポッドキャスト風の記事解説
渓流ベイトフィネスリールの特徴

渓流ベイトフィネスリールとは、5g以下の軽量ルアーをキャストすべく開発されたベイトリールです。
2010年頃から、バスフィッシングのトッププロを中心に広まりました。
本来、軽いルアーをキャストするとバックラッシュ1が起こりやすい、ベイトリールの弱点を克服しているのが特徴。
渓流ルアーフィッシングにおいても、手返し2の早さとキャストの精度が高さなどにより、スタンダードなリールになっています。
浅溝の小口径スプール
渓流ベイトフィネスリールは、軽量ルアーをトラブルなくキャストすべく軽量化を図っています。
スプールには浅溝の小口径スプール(シャロースプール3)を採用し、軽さを追求しているのが特徴。
深溝スプールだとライン放出をコントロールしにくく、バックラッシュのトラブルも増えるので渓流ベイトフィネスには不向きです。
そもそも渓流ルアーフィッシングではあまりロングキャストを必要としないので、深溝タイプと比べてライン巻き量が少なくても問題ありません。
マグネット式ブレーキが主流
渓流ベイトフィネスリールは、遠心式ブレーキ4を搭載した一部のクラシカルなモデルを除いて、マグネット式ブレーキ5を採用しています
磁石でスプールを制御するのが特徴で、バックラッシュのトラブルを減らせるのが特徴。
パーツの少なさで軽量化にも貢献しており、渓流ルアーフィッシングに適しています。
- 5g以下の軽量ルアーをキャストすべく開発されたベイトリール
- 浅溝のシャロースプール採用で軽さを追求
- マグネット式ブレーキ搭載でバックラッシュのトラブルを減らせる
渓流ベイトフィネスリールのメリット

渓流ベイトフィネスリールには、スピニングリールにはない以下のようなメリットがあります。
- 軽量ルアーをキャストできる
- 手返しが速い
- キャストの精度を高められる
軽量ルアーをキャストできる

渓流ベイトフィネスリールは、そもそもバスフィッシングでノーシンカーワームなどごく軽いリグをキャストするために開発されました。
1g程度のルアーもキャスト可能と謳っているモデルもあり、5g前後の渓流ルアーなら難なくキャストできるのが最大のメリットです。
手返しが速い
ベイトリールはクラッチの入切でキャスト、リーリングします。
スピニングリールのようにベールを上げ下げがなく、手返しの速い釣りを展開できるのが魅力です。

キャスト精度を高められる
ベイトリールはロッドの軸に近く位置するため、キャストの安定性を高められます。
ラインの放出量を親指でコントロールする「サミング6」とあいまって、ブレずにキャストしやすいのがメリット。
スピニングリールの指でラインの出を止める「フェザリング7」よりも、ラインの放出量を微妙にコントロールしやすいのが特徴です。
また、スピニングリールよりもハンドルがロッドに近いのもポイント。
キビキビとトゥイッチングしやすく、まさに渓流ルアーフィッシングにぴったりなのが渓流ベイトフィネスリールなのです。
渓流ベイトフィネスリールのデメリット

渓流ベイトフィネスリールには、スピニングリールよりも多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
- バックラッシュがつきもの
- 重みを支える負担がかかる
- ベイトロッドが必要
メリット・デメリットの双方を理解して、チャレンジするか決めましょう。
バックラッシュがつきもの
渓流ベイトフィネスリールに限らず、ベイトリールにバックラッシュがつきものです。
バックラッシュとは、ラインの放出スピードに対してスプールが速く回転することで、ラインがぐしゃぐしゃになる現象。
スピニングリールしか扱った経験がない場合、はじめは戸惑うかもしれません。
ただし、渓流ベイトフィネスリールは軽量ルアーをキャストすべく設計されているのが特徴です。
高性能なマグネット式ブレーキを搭載しており、一般的なベイトリールよりもバックラッシュする確率を断然減らせます。
重みを支える負担がかかる
ベイトリールは、ロッドの上にリールが位置します。
ロッドの下に位置するスピニングリールと異なり、下から支えるような構えになるのが特徴です。
ベイトリールを嫌う人の中には、手に重みがかかるの気になるという方がいます。
とはいえ、渓流ベイトフィネスリールはベイトリールの中でもっと軽量。
デメリットというのは大げさで、「重みが気になるという方もいる」という程度に思っても問題ありません。
ベイトロッドが必要
ベイトリールには、専用のベイトロッドを組み合わせます。
スピニングロッドしか持っていないなら、購入しなければなりません。
ベイトロッドは、指をかけて持ちやすくする出っ張りを設けてあるのが特徴です。
スピニングロッドにセットすると持ちにくく、扱いにくいので注意しましょう。
渓流ルアーリールについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

渓流ベイトフィネスリールの選び方

渓流ベイトフィネスリールのメリット・デメリットがわかったところで、選ぶ際のポイントを押さえておきましょう。
重さをチェック
渓流ベイトフィネスリールは一般的なベイトリールと比べて軽量なのが特徴ですが、より軽さを重視するなら重さをチェックしておきましょう。
軽いモデルほど、ルアーを操作しやすくする効果が期待できます。
ただし、必ずしも軽いほど操作しやすいわけではありません。
ロッドとのバランスも考慮する必要があるほか、重みがあるほうが重心が手元に近くなってキャストがブレにくいメリットがあります。
メーカーのホームページで「渓流ベイトフィネスに最適」と謳っているモデルなら、どれを選んでも重さ的には問題ありません。
ギア比をチェック
ギア比8が高いほど、1回転させたときに多くのラインを巻き取れます。
渓流ルアーフィッシングで上流にキャストする「アップストリーム」を多用することが多く、一般的にはハイギア9が適しています。
上流に着水したルアーを流れに乗って下ってくるため、ラインスラック10が出やすいのです。
ラインスラックをすばやく巻き取る必要があり、ハイギアのモデルが渓流ベイトフィネスリールに適しています。
渓流ベイトフィネスに適したギア比の目安は、7~9程度。
ギア比5前後のローギア11タイプは、渓流ルアーフィッシングに向いていません。
糸巻き量をチェック
渓流ルアーではそれほどロングキャストするわけでもなく、6lb(ポンド)のナイロンライン12やフロロカーボンライン13を40mも巻ければ十分です。
シャロースプールを搭載した渓流ベイトフィネスリールを選べば問題ありません。
6lbの樹脂ラインを40m巻けるなら、PE0.6号を最大100m巻けます。
ただし、巻きすぎるとラインの重みでキャストしにくくなるので、50mほど巻くのがおすすめです。
最大ドラグ力をチェック
最大ドラグ力14とは、ドラグを目一杯締めた状態で耐えられる最大負荷です。
数値を超えるとラインが出て、ラインブレイクの防げるようになっています。
リールにはモデルによって最大ドラグが異なりますが、渓流ルアーフィッシングではあまり気にする必要がありません。
大型魚の狙うソルトルアーフィッシングでも使うなら、より最大ドラグの大きいモデルをチェックするとよいでしょう。
渓流ベイトフィネスリールのおすすめ4選

渓流ルアーフィッシング向けベイトフィネスリールのおすすめモデルを紹介します。
他のサイトではバスやソルト向けモデルを適当に紹介しているケースが多いですが、まさに渓流ルアーにぴったりなモデルを厳選しました。
長く愛用できるモデルを探している方は、ぜひ参考にしてみてください。
シマノ(SHIMANO) カルカッタコンクエストBFS
低慣性を実現した「MGLスプールⅢ」や、幅広いブレーキセッティングが可能な「FTB」を採用している渓流ベイトフィネスリールです。
シマノのベイトフィネスリールの上位モデルで、軽い渓流ルアーを低弾道で正確にキャストしやすいのが特徴。
鍛造切削で造り出された丸型フォルムも印象的で、クラシカルな雰囲気が好みの方におすすめです。
品番 | ギア比 | 最大ドラグ力 | 自重 | スプール径/幅 | 糸巻量フロロ | 最大巻上長 | ハンドル長 | ベアリング数BB/ローラ― | 夢屋ハンドル ノブタイプ | 夢屋ハンドルタイプ | 本体価格 |
HG | 7.8 | 3.5 | 195g | 29/19mm | 6lb-45m | 71cm | 40mm | 13/1 | A | BH-1 | 59,000円 |
XG | 8.9 | 3.5 | 195g | 29/19mm | 6lb-45m | 81cm | 40mm | 13/1 | A | BH-1 | 59,000円 |

シマノ(SHIMANO) アルデバラン BFS
シマノのベイトフィネスリールでミドルクラスのモデルです。
幅広いブレーキセッティングが可能で、1g前後の軽量ルアーをキャストできる性能を実現。
手頃な価格で高性能な渓流ベイトフィネスリールを探している方におすすめです。
品番 | ギア比 | 最大ドラグ力 | 自重 | スプール径/幅 | 糸巻量フロロ | 最大巻上長 | ハンドル長 | ベアリング数BB/ローラ― | 夢屋ハンドル ノブタイプ | 夢屋ハンドルタイプ | 本体価格 |
HG | 7.8 | 3.5 | 130g | 29/19mm | 6lb-45m | 71cm | 40mm | 10/1 | A | BH-1 | 49,900円 |
XG | 8.9 | 3.5 | 130g | 29/19mm | 6lb-45m | 71cm | 40mm | 10/1 | A | BH-1 | 49,900円 |
ダイワ(DAIWA) SILVER CREEK AIR TW STREAM CUSTOM
渓流ベイトフィネス専用に開発された、唯一の渓流ベイトフィネスリールです。
マグネットブレーキの作用に必要なインダクトローラーを固定しているのが特徴。
微弱なブレーキをかけ続ける構造により、短い距離を撃ち続ける渓流ルアーで精度の高いキャストを実現します。
どれを選んだ良いのか迷って方におすすめの1台です。
品名 | 巻取り長さ (ハンドル1回転) | ギア比 | 自重 | 最大ドラグ力 | スプール寸法 | 標準巻糸量 ナイロン・フロロ | 標準巻糸量 PE | ベアリング (ボール/ローラー | ハンドル長さ | 価格 |
8.5R(L) | 74cm | 8.5 | 170g | 3.5kg | 28/21mm | 6lb-40m | 0.6号-40m 0.8号-40m | 6/1 | 80mm | 50,500円 |

ダイワ(DAIWA) アルファス BF TW
「さらなる低イナーシャスプール」を目指して開発したNEWマグネットブレーキ構造「SS MAGFORCE」を搭載している渓流ベイトフィネスリール。
フィネス専用BFスプール搭載とあいまって、超軽量ルアーをトラブルなくキャストできます。
要望の多かったという、ドラグ引出しクリックを搭載しているのもおすすめポイントです。
品名 | 巻取り長さ (ハンドル1回転) | ギア比 | 自重 | 最大ドラグ力 | スプール寸法 | 標準巻糸量 ナイロン | ベアリング (ボール/ローラー | ハンドル長さ | 価格 |
6.3R(L) | 59cm | 6.3 | 165g | 3.5kg | 30/21mm | 6lb-45m | 6/1 | 80mm | 51,900円 |
8.5R(L) | 80cm | 8.5 | 165g | 3.5kg | 30/21mm | 6lb-45m | 6/1 | 80mm | 51,900円 |
渓流ベイトフィネスリールの基本スペック比較
品名 | ギア比 | 巻き取り長さ 1回転 | 糸巻量 フロロ | 重量 | メーカー価格 |
シマノ カルカッタコンクエストBFS ![]() | 7.8 8.9 | 71cm 81cm | 6lb-45m | 195g | 59,000円 |
シマノアルデバラン BFS![]() | 7.8 8.9 | 71cm | 6lb-45m | 130g | 49,900円 |
ダイワ SILVERCREEK AIR TW STREAMCUSTOM ![]() | 8.5 | 74cm | 6lb-40m | 170g | 50,500円 |
ダイワ アルファス BF TW ![]() | 6.3 8.5 | 59cm 80cm | 6lb.45m | 165g | 51,900円 |
渓流ベイトフィネスリールに関するQ&A

- ベイトリールには、どのようなロッドが向いていますか?
-
軽いルアーをキャストしやすい渓流用ベイトロッドが適しています。
ティップからパッドにかけてなだらかに曲がり、トラウトのバイトを弾かないモデルがおすすめ。
いわゆる先調子ではなく、胴あたりから曲がってやや収束の早いタイプがバックラッシュしにくいです。
長さは、渓流で扱いやすい4.3~5フィートをチョイス。
ただし、あまり短いと初心者の方はキャストしにくくなるので、はじめは5フィート程度を選んだほうがよいでしょう。
- リールに巻くラインの種類や号数は?
-
ラインは、ナイロンやフロロカーボンよりも細く強度に優れたPEライン15が適しています。
号数は0.4~0.6号がおすすめ。
軽いルアーをキャストする渓流ベイトフィネスでは、必要以上に太すぎると空気抵抗が大きくてキャストしにくく、水中抵抗も大きくルアーのアクションにも影響します。
渓流ルアーフィッシング用のラインについては、以下の記事も参考にしてみてください。
あわせて読みたい【種類別】渓流ルアー「ライン」おすすめ!太さ・色など選び方完全ガイド 渓流のルアーフィッシングで使用するラインには、いくつか種類があります。また、号数も渓流釣りに適した太さを選択する必要もあり、どれを選んだらよいのか迷ってしま... - バックラッシュを防ぐにはどうしたらよいですか?
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キャスト時に力が入りすぎて、スプールの初速が速くなるとバックラッシュしやすくなります。
ですので、瞬発力でロングキャストしようとせず、大きく振りかぶらないようにキャストしましょう。
そもそも渓流ルアーフィッシングではそれほどロングキャストは必要ないので、ピンポイントにルアーを置きに行くような感覚でキャストしてみてください。
また、ブレーキを緩めすぎず、スムーズにラインが出る程度のブレーキセッティングに調整しましょう。
- ショックリーダーは必要ですか?
-
ルアーを直接結ぶショックリーダー16は、PEラインを渓流ベイトフィネスリールに巻く際には必須です。
PEラインは擦れに弱く、直接ルアーに結んでしまうと毛羽だって最後には切れてしまいます。
根ズレに強いフロロカーボンラインの4~6ポンドを最低40~50cmとって、ショックリーダーとして結びましょう。
リールに巻き込むくらい多めにとっても問題ありません。
- クラシックリールは渓流ベイトフィネスに向いていませんか?
-
アブガルシアの「アンバサダー」など、丸型のクラシックリールも渓流ベイトフィネスで人気です。
ただし、軽いルアーをキャストする設計になっておらず、チューニングが必要。
より軽量なスプールやベアリングを用意して、軽いルアーをキャストできるようにカスタマイズしなければなりません。
難易度は高いものの、自分でパーツを交換しながらカスタマイズする楽しみがありますので、興味があれば挑戦してみてください。
【初心者向け】渓流ベイトフィネスリール 理解度テスト
本記事の内容を理解できたかチェックしてみよう!
【まとめ】お気に入りの渓流ベイトフィネスリールを見つけよう

渓流ベイトフィネスリールはスタイリッシュな見た目が魅力なだけではく、手返しの早い釣りやキャスト精度の高さで魚と出会う確率を高められます。
高性能なマグネット式ブレーキを採用で、初心者の方でも扱いやすくなっていますよ。
これから渓流ベイトフィネスをはじめるなら、最寄りの釣具店や各ECサイトでお気に入りの1台を見つけてみてください。
脚注:記事中の専門用語解説
- ベイトリールにおいて、ルアーの飛ぶスピードに対してスプールの回転が速すぎて、ラインが絡まったり膨らんだりする現象。 ↩︎
- キャスト、ルアー操作、回収、次のキャストまでの一連の動作を素早く行うこと。釣りの効率に影響する。 ↩︎
- ラインを巻く溝が浅く作られたスプール。軽量化に貢献し、軽量ルアーのキャストに適している。 ↩︎
- スプールの回転による遠心力でブレーキブロックが作動し、ブレーキをかけるシステム。 ↩︎
- 磁石の力でスプールの回転にブレーキをかけるシステム。バックラッシュ軽減に効果がある。 ↩︎
- ベイトリールのスプールを親指で軽く押さえることで、ラインの放出スピードをコントロールし、バックラッシュを防いだりキャスト精度を調整したりするテクニック。 ↩︎
- ピニングリールにおいて、人差し指などでラインの放出を軽く押さえることで、キャストの飛距離や精度を調整するテクニック。 ↩︎
- ハンドルを1回転させたときに、スプール(またはローター)が何回転するかを示す比率。巻き取り速度に影響する。 ↩︎
- ギア比が高いタイプのリール。巻き取り速度が速い。 ↩︎
- ラインが弛んでいる状態で、余分な糸ふけのこと。 ↩︎
- ギア比が低いタイプのリール。巻き取り速度が遅い。
糸巻量 (Itomaki Ryo): スプールに巻くことができるラインの長さの目安。使用するラインの種類や号数によって異なる。 ↩︎ - 柔軟性があり、価格も比較的安い樹脂製ライン。 ↩︎
- 伸びが少なく感度が高く、根ズレに強い樹脂製ライン。 ↩︎
- リールの機能の一つで、魚が強く引いた際に設定した負荷に応じてスプールが逆転し、ラインが放出されることでラインブレイクを防ぐシステム。 ↩︎
- ポリエチレン素材を編み込んだライン。細くても強度が高く、感度も良いが擦れに弱い。 ↩︎
- PEラインなど擦れに弱いラインを使用する際に、ルアーとの間に結ぶ、擦れに強いフロロカーボンラインやナイロンラインのこと。 ↩︎